ビットトレント / BitTorrent (BTT)の編集履歴#18

記事全体

簡単にまとめると

世界最大級のP2Pファイル共有サービスBitTorrent(ビットトレント)が発行する仮想通貨

  • ビットトレントは1億人以上のユーザーを抱える大手分散型P2Pファイル共有サービス。2001年に登場し、音楽や映画を個人間で共有できるサービスとして一斉を風靡した。
  • ビットトレントでは、ファイルのダウンロードが完了するとネットワークに対して自動的にアップロードする機能が備わっており、この機能によってネットワーク上で広くデータがやりとりできる仕組みとなっている。
  • しかし、ユーザーにとってはアップロードを続けるインセンティブがないため、多くのユーザーはファイルのダウンロードが完了した時点で、ネットワークから離脱してしまう課題が存在する。
  • ビットトレントは、コンテンツ投稿プラットフォームを提供する仮想通貨 トロン の技術を用いて、BTTトークンを発行。BTTを活用することで、上述の問題を解決し、ファイル共有のネットワークの活性化を目指している。
  • 2018年8月にトロンがビットトレントの買収を行ったことを皮切りに、本プロジェクトがスタートした。このブロジェクトはAtlasと呼ばれる。
  • 略称はBTTとなる。

何がすごいのか?

ファイルをアップロードするインセンティブを導入予定

  • これまでビットトレントのファイル共有ネットワーク上へファイルをアップロードしても(シーディングと呼ばれる)、ユーザーは何も報酬がなく、アップロードするインセンティブがなかった。
  • ビットトレントは、トロンの技術を活用してBTTトークンを発行。ファイルをアップロードしたユーザーへ、報酬としてBTTトークンが受け取れると共に、より早くダウンロードが可能というインセンティブを付与した。
  • このインセンティブ設計により、ビットトレントのネットワークがより活発に利用されることが期待される。

マイニングが発生しないため、トランザクションが非常に早い

  • ビットトレントはトロンの技術を用いているため、承認アルゴリズムはPoS(Proof of Stake)であり、マイニングは不要。
  • そのためビットコイン等と比較して、一度に大量の取引を処理することができ、高速である。

1億人のアクティブユーザーを抱えるサービスへブロックチェーンが導入される

  • ビットトレント自体は、2001年にスタートしたサービスであり、非常に巨大なサービス。すでにアクティブユーザー数1億人以上、世界138カ国で利用されており、世界のアップストリームトラフィック(PCやネットワークから送信されるデータ)の22%を占めている。
  • これはビットコインの3230万人という数字よりも圧倒的に大きく、ビットトレントにトロンの技術が導入されれば、ブロックチェーンを活用した世界最大の分散型アプリケーションとなる。

どんな技術か?

ファイルアップロード者へトークンのインセンティブを付与して高速化を行うBitTorrent Speed機能を提供

  • 既存のビットトレントの仕組みでは、シードと呼ばれるファイルをアップロードするユーザー(100%完全なファイルを保有)がファイルをアップロードし続けるインセンティブが存在しない。
  • 一方で、ファイルの一部を持っているユーザー同士がデータを提供しあって、ダウンロードを続けるという仕組みも存在するが、その設計上、ファイル全体が揃うには非常に時間がかかり非効率である。
  • BitTorrent Speedは、こうした問題を解決するため、ファイルをダウンロードしたいユーザーが、シードとなるユーザにBTTトークンを報酬として与え、ダウンロードを高速化する仕組みである。
  • 具体的には、各ユーザー(ピア)の間でBidding(オークション)が行われ、より多くのBTT報酬を提示してユーザーが、より高速にファイルをダウンロードすることができる。
  • この仕組みは、あくまで既存のビットトレントの上に追加されるものであり、既存のファイル共有の仕組みはそのまま維持される。(BTTトークンがなくてもファイル共有可能)

ファイル共有サービスに加え、BTTトークンを利用した下記3つのサービスを展開予定

  • コンテンツ配信サービス:BTTを支払うことで、コンテンツを大勢のユーザーへ配信することができる。
  • 分散型ストレージサービス:BTTを支払うことで、ファイルをネットワーク上に分散して保管できる。
  • プロキシーサービス:BTTを支払うことで、例えば、Wifiで接続しているモバイルであっても、接続を長く維持する必要なく、欲しいコンテンツをネットワーク上からダウンロードすることができる。

サードパーティ開発者へAPIとマーケットプレースを提供予定

  • TRONの技術を導入するのと同時に、サードパーティの開発者がアプリ開発を行えるAPI、そしてアプリを提供できるマーケットプレースを提供予定。
  • これはビットトレントのファイル共有とは異なるアプリケーションを想定しているが、BTTの利用が拡大することで、結果としてビットトレントのエコシステム全体が活性化されることにつながる。

誰が作っているのか?

Justin Sun(Tron及びBitTorrentのFounder/CEO)

  • 元Rippleの中国地域を担当していたChief Representative and Advisor。Rippleを退職後にTronを創業。2018年にビットトレントを買収後、CEOに就いた。
  • 北京大学を卒業後、ペンシルバニア大学ウォートン校でMBAを取得。

Justin Knoll(Project Atlas PM)

  • ソフトウエアエンジニアであり、ビットトレントにて約4年間、ウェブ、iOS、Androidアプリのストリーミングメディアソリューションを担当。
  • ビットトレントがトロンに買収されて後、トロンの技術を統合するProject Atlasの責任者を務める。

これまでの実績

  • 2018/7  仮想通貨トロン(Tron)に買収される
  • 2019/1 仮想通貨トロン(Tron)をベースとして、ビットトレント(BTT)を発行。これはBinanceのLaunchpad(ICO支援サービス)第一号案件としても注目を集め、販売開始からわずか15分で$7Mの調達に成功した。